「SNS解析」訪日外国人の行動解析をしたらこうだった〜地方編〜


「inbound insight(インバウンドインサイト)」を使った、「SNS解析 訪日外国人の行動を解析したらこうだった」の解析データ活用事例第10弾をご紹介します。

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2017年7月の訪日外国人観光客数は月単位としては過去最高の268万2千人を記録し、昨年7月に比べ訪日客数は16%以上増加しています。
このように訪日外国人観光客数が増加するとともに、リピーター客数も増えてきており新しい体験を求めて、東京や大阪といったゴールデンルート以外のエリアに足を運ぶ訪日外国人も増えてきています。
今回のレポートでは、政府が発表するオープンデータをベースに、地方へ足を運ぶ訪日外国人が実際に増加しているのかを検証します。
さらに、ナイトレイが提供する訪日外国人動向解析ツール「inbound insight(インバウンドインサイト)」のSNS解析プランを活用し、地方を旅行する訪日外国人が何に関心を抱き、どういった周遊ルートで旅行をしているか実態を明らかにします。

【目次】

① 地方に滞在する訪日外国人は増加
② SNSから見える、地方をめぐる訪日外国人の動向分析
A) 夏祭り(香川県)
B) 桜(佐賀県・岐阜県)
C) ラベンダー(北海道)
D) 周遊ルートの考察
③ まとめ

① 地方をめぐる訪日外国人は増加

国土交通省が発表している「宿泊旅行統計調査」によると、2014年から2016年にかけて、地方における訪日外国人延べ宿泊者数の推移は増加傾向にあります。
特に、2016年における地方での宿泊者数は全体の宿泊数に対して35%以上のシェアがあり、2015年、2014年に比べて地方での宿泊旅行を選択する訪日外国人が増えていることが伺えます。

【地方の訪日外国人宿泊者数推移】


出所:宿泊旅行統計調査(国土交通省)
注:地方は国土交通省の定義する都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)以外としています

都道府県別で注目すると、佐賀県、岡山県、香川県の増加率が高く、2014年比でそれぞれ175%増、154%増、151%増となっています。要因としては、リピート訪日客の増加が挙げられます。リピート客は、東京や大阪、京都の主要観光地では飽き足らず、地方へ足を伸ばし、より日本的な体験を好む傾向が見られます。
実際、観光庁の発表する「訪日消費動向調査」によると訪日が2回目以上だと答える訪日客の割合は全体の55.1%に増えており、前年と比較して、増加しています。

【訪日外国人の訪日回数の割合】


出典:訪日消費動向調査(観光庁)

注:訪日消費動向調査とJNTOの訪日客推計値を参考に算出

【2016年訪日外国人宿泊数増加率(対2014)】

出所:宿泊旅行統計調査(国土交通省)

 

出所:「明日の日本を支える観光ビジョン」(観光庁)

また、政府が掲げる「明日の日本を支える観光ビジョン」の後押しを受け、訪日客獲得に向けた地方自治体レベルでの施策が奏功し始めているのも理由であると考えられます。

 

②SNSから見える、地方をめぐる訪日外国人の動向分析

今回は、特に地方の中でも訪日外国人の宿泊人数の伸び率が高い香川県と佐賀県、そして、弊社が独自で集計している人気施設ランキングで浮かび上がった地方の人気スポットに注目し、それぞれのエリアを旅行した訪日外国人の旅行動向を明らかにしていきます。

(A) 祭り/花火

香川県の8月中のSNS投稿を確認してみると、お祭りや花火大会を楽しんでいる投稿が多くあります。例えば、さぬき高松祭り(開催期間:8月12日(土)~14日(月)が高松市で開催され、スペイン人やアメリカ人など数多くの訪日外国人観光客が参加していました。香川に限らず、地方のお祭りや花火大会の時には訪日外国人によるSNS投稿は多くあり、日本人のみならず、訪日外国人の目にも魅力的なイベントに映っているようです。
地方の自治体も、花火大会やお祭りなどのローカルイベントを、ある種の「観光資源」として、訪日外国人にも積極的にPRしていくことで、誘客につなげることができる可能性があります。

高松市の夏祭りを楽しむ訪日外国人(左:スペイン人 右:アメリカ人)

(B) 桜

春季における佐賀県の訪日外国人の動向に注目すると、桜に関心を抱く訪日外国人が多くいたようです。

桜を背景に写真をとった中国人旅行客のSNS投稿

SNS投稿内容に注目すると「桜を見ることができてよかった」というコメントと共に、桜を背景に写真を撮影しています。
やはり、訪日外国人にとって桜は高く関心を引くものであり、各自治体は桜の見頃やオススメの花見スポットを積極的に訪日外国人に発信していくことで、訪日旅行中に桜も楽しみたいという訪日外国人の誘致に繋げられるでしょう。

更に、弊社の独自で集計するホットスポットランキングによると、春期中に岐阜県の中橋を旅行した訪日外国人が急増していました。中橋は飛騨高山を代表する観光名所で、桜の景色が楽しめる場所として非常に有名です。

 

ホットスポットランキング(2017/04/17 – 2017/04/23)

 

中橋にて写真を撮るタイ人女性

中橋でSNS投稿をしたタイ人観光客の投稿に注目してみると、桜の開花期間としては遅い4/22に花見を楽しんだようです。飛騨高山は関東・関西と比べて開花時期が遅い(4/22満開)ため、京都や東京の桜を見逃した外国人観光客が飛騨高山を訪れ、本州では比較的遅咲きの桜を見に来ているのではないかと考えられます。
飛騨高山周辺の自治体は、中部・北陸地方を巡る「昇龍道」観光を積極的に押し出しており、その恩恵を受けている可能性があります。この観光ルートは今後更なる拡大が予想され、それに伴い中部・北陸地方へのインバウンド需要の増加が期待できます。その際は「桜の遅咲き」というような地元の特徴を売りした、PRによってより多くの観光客を集客することも可能かもしれません。

(C)ラベンダー畑

ここでは、夏季における訪日外国人に人気なスポットに着目します。2017/07/10 – 2017/07/16の間で最も関心の高い施設は北海道の中富良野にある「ファーム富田」でした。「ファーム富田」はラベンダーを始めとした色とりどりの花畑が有名であり、国内外から多数の観光客が訪れているスポットです。
今回、実際に「ファーム富田」を訪れた訪日外国人のSNS投稿内容に注目します。

 

ホットスポットランキング(集計期間: 2017/07/10 – 2017/07/16)

 

マレーシア人とフィリピン人旅行客による投稿

ファーム富田で発信されたSNS投稿内容を分析してみると、ラベンダー等のカラフルな花畑の様子と周辺の自然を一緒に写真をとって投稿している様子が伺えます。また、東南アジアや東アジアからの旅行者のSNS投稿が多く見られます。
毎年、冬になると欧米豪からの多くのスキー客や雪を楽しみたい東アジアからの訪日外国人が多く来訪する北海道ですが、夏は北海道の爽やかな気候と大自然を感じたい近隣のアジアからの旅行客の関心を引き付けています。

(D)周遊ルートの考察

ここでは、SNS解析プランのルート表示機能を活用し、上記で紹介したエリアを訪れた訪日外国人の周遊動向について分析します。

周遊傾向として共通していることは、東京、大阪、京都等主要観光スポットだけではなく、地方の観光名所もルートに組み込んでいる訪日外国人が大部分を占めているということです。前述したように、日本観光の玄人が増えてきており、ゴールデンルートでは飽き足らず、地方の観光資源へ興味を持つ訪日外国人が増えてきている証左であるといえます。

 

③まとめ

今回の分析の結果は以下のようにまとめられます。

1.地方で宿泊を伴う旅行をする訪日外国人数は年々増えてきている
2.地方を訪れる訪日外国人はゴールデンルートと地方を組み合わせ、日本を周遊する傾向がある
3.お祭り等のイベントも訪日外国人の注目する観光資源であるため、それらを活かしたプロモーション施策と多言語対応を含めた環境整備を行うことで、訪日客誘致に繋げられる

このように、「inbound insight(インバウンドインサイト)」のSNS解析プランでは、SNS投稿を解析することにより、イベントがどれだけ話題になっているか、効果検証の実施や、訪日外国人がどのようなことに関心をいだいているかを解析することが可能です。
ナイトレイは「inbound insight(インバウンドインサイト)」を提供することで、皆さまの戦略的なインバウンドマーケティングをサポートしてまいります。

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