最近、訪日外国人の観光ニーズが「モノ消費」(=買い物中心)から「コト消費」(=体験中心)へ移っていると言われています。 それでは、どのような体験型観光が訪日外国人に人気なのでしょうか?一方で、「爆買い」に代表される「モノ消費」は終了したのでしょうか?
今回は「inbound insight(インバウンドインサイト)」のPROプランを利用して、最新の訪日観光事情を解析します。
外国人に人気がある体験型観光
① 文化体験
日本らしさに触れることができる文化体験は、「コト消費」の代表格として訪日外国人に根強い人気があります。中でも、女性を中心に高い人気を誇るのが「着付け体験」です。「inbound insight(インバウンドインサイト)」PROプランのキーワード検索機能を使い、「着物」というキーワードを含むSNS投稿を解析すると、着物を着用した外国人の写真付き投稿が多く見られました。
こちらのフィリピン人の女性は、着物を着て伏見稲荷大社を観光したようです。京都や浅草などの寺社が多い地域で、このような投稿が多く見られました。
こちらのインドネシア人の女性は、着物を着て浅草寺を観光したようです。TwitterやInstagramなどのSNSに写真を投稿することが好きな外国人は、写真映えする着物を着て寺社を観光する人が多いようです。
② 「聖地巡礼」
日本のアニメは今や世界中に熱烈なファンがいます。作品の世界観に浸るために、モデルとなった場所を実際に訪問する「聖地巡礼」が訪日外国人にも人気です。例えば、こちらの中国人の女性は人気アニメ(漫画)「君に届け」の舞台である「北幌町」のモデルとなった「羽幌町」に聖地巡礼しているようです。
「inbound insight(インバウンドインサイト)」PROプランのルート表示機能を利用して羽幌町以外での観光ルートを見てみると、上の画像のように北海道内で様々な場所を訪問しているようです。
ルート上のポイントでのSNS投稿を見てみると、新千歳空港ターミナルビル内にある初音ミクのショップ&ミュージアム「雪ミク スカイタウン」での投稿や、某外食チェーン店と人気ゲーム「艦これ」のコラボキャンペーンに関する投稿などが見つかりました。
2016年9月に聖地巡礼を訪日観光資源として活用するために「アニメツーリズム教会」が設立されました。 2020年に訪日外国人4000万人という目標を達成するためには、既存の観光資源だけでなく、アニメや漫画などのソフトパワーを上手に利用して新しい観光資源生み出していくことが必要です。
③ 意外な体験型観光
団体旅行から個人旅行へシフトするにつれて、個人的な興味に基づいたニッチな観光が増えています。こちらの中国人男性の観光ルートは、パナソニックセンター→トヨタシティショウケース→日本科学未来館というもの。どれも有名な観光施設ではありませんが、日本の科学技術に興味がある人にとってはゴールデンルートなのかもしれません。
個人旅行の訪日外国人が増えるにつれて、今まで注目されていなかった施設が人気になることも大いにありそうです。
「爆買い」は終了したのか?
体験型観光が注目を集める一方で、百貨店のインバウンド不振から「爆買い」は終了したとの声も聞かれます。それでは、本当に「爆買い」は終了したのでしょうか?
百貨店とは対照的に、ドラッグストアの売上は好調です。また、「inbound insight(インバウンドインサイト)」でも化粧品や医薬品、食品などの消耗品に関する投稿が目立ちます。
こうしてみると、「爆買い」の対象が、ブランド品や家電といった高級品から化粧品や医薬品などの消耗品へとシフトしている一方で、消耗品のインバウンド消費は依然として堅調と言えそうです。
そして、消耗品はリピーターとして継続的に購入される可能性が高く、帰国後にECで購入してもらう仕掛けづくりなど、より戦略的にインバウンド対策を立てる必要があります。
まとめ
訪日外国人のSNS投稿から最新の訪日観光事情を探ってみると、日本ならではの体験ができる観光が人気のようです。そして、体験型観光では思いがけない場所がSNSをきっかけとして人気になったりします。体験型観光などの「コト消費」では、「モノ消費」以上に訪日外国人のインサイトを理解する必要があると言えそうです。
一方で、「モノ消費」は高級品から消耗品をへと対象を変えており、リピーターとして継続的に購入してもらうために、より戦略的なインバウンド対策が必要と言えるでしょう。